ただいま、あちこちで話題になっているりぼんで連載中の「さよならミニスカート」
1巻が発売されたとき、ネットニュースで「すごい!」「衝撃的!」「各メディア絶賛!」という煽り見出しをたくさん見かけました
「へー・・・なんかすごく出版社が力を入れているコミックが出たんだなー」って思っていたけど・・・
「でも、りぼんでしょ?しょせん、小学生女子向けの漫画でしょ?」と冷ややかな目線を向けていました
なんてったって・・・わたしは大人女子といわれる年齢でして・・・
さすがに、りぼんに連載されている漫画にハラハラしたり、ドキドキしたりすることはないだろう。と思っていたのです
が!!!!!
2巻の発売で本屋の平台に圧倒するがごとく山積みされている「さよならミニスカート」を見て
つい、手に取ってしまった!!
そして、読んでみたら・・・
「な・・・なんじゃ!!こりゃ!!!!!」
まさに「衝撃!」「ハラハラの連続!」「これ・・・りぼんじゃない・・・」
画はね・・・りぼんって感じなの
でも、その内容は・・・・
気になった方は、このままぜひ読み進めてくださいね
目次
こんなに面白い!「さよならミニスカート」
傷つけられたアイドル。「女の子をやめる」?でも・・・本当にそれでいいの?
主人公は、高校1年生の神山仁那
男の子みたいなショートの髪に制服はスラックス
見た目は、男の子そのもの
口調もそっけなく、愛想もない
だから、クラスメイトの男子からは「かわいげがない」と言われ、同性の女子たちからも「男になりたい系女子」と遠巻きにされている
孤立している仁那
だけど、仁那が男の子のような恰好、ふるまいをするのには理由がある
実は、仁那は、半年前まで、人気アイドルグループのセンターとして人気アイドルとして活躍していたのだ
短いスカートで歌い踊り、水着グラビアの仕事もし、フリフリの衣装に身を包みいつも笑顔で「かわいいアイドル」だった仁那
仁那にとっての「アイドル」は、子供のころからの夢だった存在で、みんなに元気をあげれる仕事
だからどんなに忙しくなろうとも、笑顔でみんなを幸せにしていた
けれど、ある雨の日の握手会で、ひとりの熱烈なファンから刃物で切り付けられてしまう
ひとりのストーカー男の異様ともいえる愛に傷つけられた仁那
犯人は逃走し、今もつかまっていない
けれど、身体の傷以上に仁那を傷つけたのは、世間からの冷たい言葉の数々だった
「女使って、男釣って儲けてんだから恨みを買って当然」
「ミニスカで売れていたアイドル」
心を傷つけられた仁那は、「女の子であることをやめよう」と思うのです
しかし・・・
アイドルをやめ普通の高校生に戻り男の子のような恰好をしていた仁那が、アイドルグループ「ピュアクラ」の元センターだったことに、クラスメイトの光が気づく
光には妹がいて、その妹が担任からのセクハラにより、今では引きこもりになってしまい
仁那が受けた暴力を他人事とは思えず、仁那のことを理解しようと近づいてくるのです
光の誠実さに触れ、自分がなぜアイドルを目指したのか?このままストーカー男に負けたままでいいのか?という気持ちが生まれ始める仁那
この漫画に描かれているのは、男性の理想である女性であることを演じなかれば存在価値がないのでは?という十代の女の子が誰しも抱く疑問
同時に、「好きな恰好」をしているだけなのに、それを性的意味でとらえる社会からの視線
女に生まれたというだけで一方的に性的な意味では弱者側でしかない理不尽さ
社会的問題を根底に起きつつ、主人公の仁那が再生と成長を描いているのがこの上なく面白い作品となっています
魅力あふれる登場人物たちがストーリーを盛り上げる
主人公の仁那が、元アイドルのピュアクラの元センターだった「花恋」だったと気づいた光
巻き毛のくせ毛がなんともかわいい男の子です
そして、とっても誠実でやさしい
妹がセクハラ被害者ということで、誰よりも仁那の心の不安を理解したいと思っている
けれど、どんなに慎重に接しても、自分におびえる仁那に、イライラして悔しがるシーンが1巻にあるんです
でも、友達から「おまえが男なかぎり、女はいつも怯えてる」と言われて・・・
その言葉に気づかされる光
でも・・・同時進行で、1巻では、光が仁那を傷つけたストーカーの犯人かのような伏線が張られていくんです
フッと見せる表情とか・・・仁那を心配する親友のサラのセリフなどで、読者を困惑させていく流れがものすごく面白いものになっています
そして・・・
仁那と対極した存在で描かれるのが「長栖未玖」
かわいいルックスで男子に大人気の仁那のクラスメイト
でも、彼女の人気は、そのかわいいルックスだけでなく、「男の子の性的視線に理解があります」という態度にもある
1巻で未玖は下校中に見知らぬ男に太ももを触られ、大騒ぎになるんだけど
クラスメイトの男子が「俺も未玖ちゃんの太ももなら触りたーーーい!羨ましい!!」って本音を叫んじゃう
女子一同「サイテー」とその男子をなじるのに、当の本人の未玖は「たかが太ももだよ!」ってプンスカってかわいい顔して男の子に媚を売る
仁那の心を傷つけるのは、男の子に媚を売る同性も含まれるという視点も面白いんです
しかも、この未玖
光に片思い中
光が仁那ばかり気にかけているのを面白くないという気持ちでいっぱいなんです
そんな未玖が、1巻の終わりに仁那がピュアクラのセンターだった「花恋」だと気づく
続く2巻では、仁那を傷つけたストーカー男からも「気に入らない存在」とされ、複数の男から何かしらの暴力を受けたのでは?と連想させるシーンもあり
未玖本人の悪意が、周りの悪意を引き寄せ、どんどん歪んでいく流れになっています
謎が謎を呼ぶストーリー性にも注目
1巻では、光が仁那を傷つけたストーカーであるかのようなハラハラさせられる展開が、ものすごく面白かった
「まさか・・・まさか・・・・まさかね」っていうハラハラがずっと続く
続く2巻では、ストーカー男に狙われる未玖
でも、未玖本人がすごく嫌な女子だから、どこまでが未玖の狙いで、どこからがストーカー男の嫌がらせなのかがわからない?
そもそも、未玖を狙うストーカー男と、仁那を傷つけたストーカー男が同一人物かどうかもなぞ!
とにかく、牧野あおい先生の描き方が、ほんと、巧いんです
「匂わせる」描写の数々に、読んでいるこちらがは「え?え?」と驚きの連続なのです
もちねこのまとめ
社会的メッセージを含め、ヒロインの再生を描き、ヒロインの恋もじれじれと進行している「さよならミニスカート」
ほんとうに、なんで、こんなスリリングで社会的メッセージのある作品が「りぼん」で連載されてるの?って気持ちでいっぱいになる
けど、未発達の子どもだからこそ、先入観を持つ前に、知っていてほしい社会のリアルとも言えるのかもしれません
本当にとても読み答えのある作品となっています
年齢を問わず、女性なら誰でも楽しめる作品だと思います
試し読みはこちらから
現在2巻まで電子化されています