もちねこ
むっちゃ!!読み応えのあるまじめなラブストーリーでしたー!!
時々、雑誌「kiss」を買うことがあって、「パーフェクトワールド」も 部分的に読んでいたんですけど・・・
主人公二人がつきあっているのか?それとも、違うのか?
わからなくって・・・???
時々、読んでいるだけだと、このヒロイン、えらく流されやすい自分がない女の子だなーって思っていたんですよね
いやいや・・・ごめんなさい・・・わたしが、障害を持つ男性とつきあう難しさをわかっていないだけでした!
1巻から、現在発刊されている最新刊まで・・・
一気に読んで、「あー。なるほど。こういうことだったんだな」ってかなりスッキリしました
お涙ちょうだい的なくらいお話を想像していたんですけど、障害者とつきあうことの難しさや複雑さがかなり克明に描かれています
こちらの作品は、2016年にAnimelandというフランスの漫画雑誌でベスト少女マンガ受賞したということなんですが、それも納得の面白さです
1巻から、ざっくりですが、お話を紹介していきたいと思います
目次
有賀リエが描く障害者と向き合うラブ「パーフェクトワールド」
「パーフェクトワールド」1巻あらすじ紹介
収録内容
- 1話~4話が収録されています
インテリアデザイン会社に勤める川奈つぐみ(26)
取引先の設計事務所との飲み会で高校時代の初恋の相手鮎川樹と再会する
飲みの席で鮎川の顔を見て、高校時代に、告げることも出来ずに終わった淡い初恋を思い出すつぐみ
高校時代からさらにかっこよくなった鮎川にときめくものを感じるが 飲み会から帰ろうとするときに、彼が車椅子に乗っていることを知る
鮎川の会社の同僚から、鮎川が大学の時に事故に合い、それから車椅子生活であることを知らされるつぐみ
初恋だった鮎川との再会は心踊るものであったのに、彼が車椅子生活であると知って気持ちが引いてしまう自分に嫌気がさす。つぐみは真面目で心優しい女性なんですね
でも、一緒に仕事をする中で、鮎川が障害をかかえた体で人一倍がんばっている姿を知ってしまう
そうなると、高校時代に抱いていた鮎川への気持ちが再び膨らみはじめるのです
鮎川の腰にできたひどい褥瘡にショックを受けたり、鮎川が自分の障害にどう向き合っているかを理解できてない自分に凹んだりしながらも、やさしくておおらかな鮎川にどんどん惹かれていくつぐみ
しかし、素直で嘘がつけないタイプのつぐみの態度は、鮎川のことを特別意識していることがバレバレで・・・
つぐみは、告白もしていないのに、鮎川からの方から、「気持ちには答えられない」と振られてしまうのです
しかし、その後、鮎川の母親から、車椅子の障害者の場合、合併症を起こして亡くなるケースがあることを聞かされ
5年後も、10年後も、大切な人が変わらずに存在するとは限らないとつぐみは気づくのです
そして、ちゃんと、自分の口から、鮎川に向かって気持ちを伝えるのです
持っている感情をすべてぶつけるような熱いつぐみの気持ちを受け止めてくれた鮎川
ふたりは、つきあうことになるのですが・・・
もちねこ
1巻の時点で、障害者である鮎川がどんなに大変な思いをしながら、仕事に取り組んでいるのかがしっかり描かれています。初恋の人と再会しときめいたものの、車椅子生活をしていることに気持ちが引いたヒロインの気持ちもかなりリアル。
それでも、鮎川という人間につぐみが惹かれていくって流れが、すごくいい1巻なんです
「パーフェクトワールド」2巻あらすじ紹介
収録内容
- 5話~9話までが収録です
高校生時代、バスケをしていた鮎川は、今も車椅子バスケをしていて、その仲間たちから、カップルになったことを冷やかされます
「こうなって不安もあるんですけど」という鮎川
「そりゃ 大変なことはたくさんあるよ でも健常者でも障害者でもみんなそうだろ」と周りの人間からアドバイスをもらいます
そして、車椅子生活の旦那さんを支える女性から「障害があるからこそ輝く恋もあると思うわ」と言われ、つぐみは、それはどんな恋なんだろう・・・と思うのです
正月に、一緒に長野の実家に帰省することになるふたり
つぐみの実家の側まで車で送ってくれた鮎川とつぐみの父が鉢合わせしてしまう
鮎川が帰った後、父親から、障害者である鮎川とつきあっていることを大反対されるつぐみ
つぐみは父親が大好きなので
途端に不安になってしまうのです
さらに追い打ちをかけるように、東京に帰ったつぐみを待っていたのは、鮎川のヘルパーである長沢さんからの冷たい言葉
長沢さんは元看護婦さんで、鮎川が事故をした時から、彼の側につきそってきた女性で
鮎川のことが好きなんですね
その彼女から「障害を負った人と付き合うのは覚悟がいるの 誰にでもでくることじゃない」と、まるで、つぐみにはその覚悟がないかのような冷たい言葉を浴びせられる
父からの反対・・・鮎川には自分はふさわしくないのでは・・・という気持ち・・・自分がいない間に鮎川がケガなどしていないかという不安から、常に緊張状態となってしまうつぐみ
身体はフラフラ状態となり、ついに駅のプラットホームで倒れてしまいます
倒れたつぐみの体は線路に落ちます
そこに居合わせた鮎川は、自分で助けることができません
「誰か助けてください」と必死に叫ぶ鮎川
何度も何度もつぐみの名前を叫び続けるのです
間一髪、つぐみは助けられますが、救急車で搬送の際も、車椅子の鮎川は同乗することができず・・・
鮎川は、つぐみに片思いをしている自分の恋敵である是枝くんという男性を頼らざる得ないこととなるのです
もちねこ
2巻のはじめは付き合いたての初々しいふたりを楽しめるんですが、それ以降は、ひたすらトラブル続きで・・・末っ子として守られる側で生活してきたつぐみの弱さが描かれています
鮎川を思う気持ちが強いゆえに、すべてのことに不安になってしまうつぐみ・・・
つぐみを支えきれず自分を責める鮎川くん
つぐみのことを支えたいという好青年の是枝くんの登場
鮎川の体のケアもできる長沢さんの登場で、主人公ふたりの試練の巻なんですね
「パーフェクトワールド」3巻あらすじ紹介
収録内容
- 10話~14話までが収録です
線路に落ちたつぐみを自分の手で助けたかったのに、それができなかった鮎川は、自分の無力さを責めます
そして、入院したつぐみのために、上京してきたつぐみの両親と対面することとなり、つぐみの母親からは「つぐみがもし 一生歩けなくなりでもしたらどうなってたか?」と感情的に責められ・・・
つぐみの父親からは誠意ある態度で、「娘と別れてほしい」と頼まれるのです
そして、つぐみ自身も、両親から、骨折している間は、長野の実家に帰ってくるよう言われます
周囲からの反対に、心が揺れ動き始めるふたり
けれど・・・
悩みに悩んで、「でも、一緒にいたい」という気持ちを大事にしていこうと思うんです
「別れない」ことを決めたふたりは、改めて、鮎川は、長野のつぐみの両親に挨拶にいくことにします
しかし約束した当日、鮎川くんは、倒れてしまい結局、長野へは行くことができませんでした・・・
電話で、つぐみに「仕事でどうしてもいけなくなった」と伝える鮎川でしたが、その様子から、鮎川の身に何かが起こっていることを感づくつぐみ・・・
反対する両親を振り切って 松葉杖をつき、鮎川のいる東京へと向かうのです
倒れた鮎川は脊髄損傷の合併症かもしれない状態でした
病院にかけつけたつぐみでしたが、鮎川の手助けになることが何一つできません
元看護婦である長沢さんは的確に鮎川の病状に対応ができるのに、自分がなにもできない非力さに悲しくなるだけでした
ここで、不安でたまらないつぐみを支えてくれたのが、つぐみに片思いをしている是枝くんで・・・
是枝くんは弱っているつぐみに「俺が川奈(つぐみ)を守りたい」と告白します
心細さで押しつぶさえそうなつぐみの心を、彼氏ではない是枝くんが支えてくれたのです
そして、鮎川の病状がよくなり、つぐみの骨折も治り、つぐみと鮎川はふたりで遠出して桜を見に行くことになります
つぐみにとっては、久しぶりに鮎川の笑顔が見れて、とてもうれしい旅行だったのですが
この旅行の最後に、鮎川から「川奈(つぐみ)の人生を大切にしてくれ」と別れを切り出すのです
もちねこ
好きだから相手を守りたい。でも、自分は相手の重荷にしかなっていない。自分は好きな人に何も与えることができない・・・とお互いが思っている感じが、ほんとつらい巻でした。
つぐみも鮎川も、すごく相手を思う気持ちが強すぎるんですよね・・・だから、本当に大事にすべきものが見えなくなっている状態なんです
「パーフェクトワールド」4巻あらすじ紹介
収録内容
- 15話~19話までが収録です
大好きだった鮎川くんと別れることになったつぐみ
鮎川くんと過ごした時間はとても幸せなものでしたが、自分の非力さを思い知るばかりのものでもありました
あの時、ああしていれば・・・という後悔ばかりがつぐみの頭をよぎります
そして、つぐみは父親が入院したのを機に仕事をやめて、長野に帰ることを決意します
つぐみの心に空いた空洞に寄り添ってくれたのは是枝くんでした
つぐみに「遠距離になってもいい」「お前が必要なんだ」と告白する是枝くん
是枝くんは高校時代からつぐみのことが好きでした
つぐみは、それを「運命」として受け入れることにするのです
一方、その頃、つぐみと別れたことを大きく後悔している鮎川
自分と同じ身体障害者で活躍している先輩のシンポジウムの内容を読んで、自分のほうが心にバリアを張ってい、つぐみに寄り添っていかなかったのでは・・・と思いはじめる
後悔しているのなら、それを伝えるべきじゃないのか?
鮎川君は、長野に向かうつぐみを追いかけます
「別れたくない」と気持ちを伝えるのですが、すでに、この時、つぐみは、是枝くんの気持ちを受け取った後だったんですね
つぐみは、鮎川の言葉をうれしいと思うのですが、是枝くんのことを思い それを受け取ることなく、長野へと帰っていくのです
もちねこ
つぐみは「運命」という言葉をよく使っているのですが、鮎川くんと再会したのも運命なら、鮎川くんと別れたことで是枝くんのやさしさに気づけたのも運命なのかもしれません
この巻は、是枝くん視点も描かれていて、思わず是枝くんのことを、応援したくなる巻なんですよね・・・
でも、つぐみの運命の相手が是枝くんだとしたら・・・鮎川とはどうなっちゃうの?ってハラハラドキドキの巻なんです
「パーフェクトワールド」5巻あらすじ紹介
収録内容
- 20話~24話までが収録です
つぐみと別れた鮎川に告白する長沢さん
しかし、鮎川は長沢さんの気持ちを受け入れてはくれませんでした
鮎川のことが大好きな長沢さんは、長野にいるつぐみに会いに行きます
そこで、是枝くんとつぐみがつきあっていることを知った長沢さん
なのに、鮎川とつぐみの関係が元にもどるのではないかという不安が消えません
だから、長沢さんは、「自分が鮎川とつきあっている」とつぐみに嘘をつくのです
それを長沢さんの嘘とは気づかないつぐみは、「これで鮎川との関係は本当に終わってしまったんだ」と思います
そして、新しい未来をのために、入院している父の役にたてるよう介護の勉強をはじめるのです
長野で新しい生活をはじめたつぐみは、父の入院先の病院で車椅子の楓さんという女性と知り合います
楓さんは進行性の病気を持っており 料理人の彼氏がいて、近々結婚することになっていました
楓さんの彼氏である圭吾は、余命少ない楓さんと共に暮らすため 楓さんが暮らしやすい家を建てようと思っています
そして、バリアふフリーに詳しい建築家を探していて、東京にいる鮎川にたどり着きます
しかし、東京まで出向き、鮎川に新居の建築を頼むものの、断られてしまう
その話を圭吾から聞いたつぐみ
楓と圭吾のもつ事情を知っているつぐみは、自分がふたりの力になれないかと東京にいる鮎川に会うことにするのです
「パーフェクトワールド」6巻あらすじ紹介
収録内容
- 25話~29話までが収録です
圭吾と一緒に鮎川のいる東京へと向かうつぐみ
進行性の病気を抱えている自分のために、圭吾と一緒に暮らす家を建ててもいいのか迷っている楓
圭吾は楓に帰れる家を作ってあげたい
そんなふたりの気持ちをつぐみから聞く鮎川
鮎川は、つぐみの話を聞き、自ら、楓に会いに長野へとやってきます
そして、表向きは、好きな彼氏と結婚間近で幸せそうに振る舞っている楓の持つ不安を知るのです
鮎川は、楓と圭吾。ふたりの夢が叶う形の新居の提案をします
ふたりの夢が叶う形の新居の計画に、うれしそうな顔をする楓と圭吾
そのふたりの姿を見て、嬉しく思うつぐみ
そして、鮎川は、長野から帰る時・・・
つぐみに「彼氏にちゃんと大事にしてもらってる?」と聞くのです
つぐみが「すごく 大事にしてもらっている」と答えたら、すごくいい笑顔で「よかった」と言ってくれるのです
その鮎川の笑顔に、あんな別れ方をしても自分の幸せを祈ってくれる鮎川の大きさを感じるつぐみ
楓さんと圭吾の新居の計画も鮎川らしいアイデアに溢れすばらしいものでした
そして・・・
今度は、どんどん先に進んで大きくなっていく鮎川の背中を見ながら、つぐみは自分が置いていかれるような気持ちに大きく揺さぶれます
そんな時に、圭吾たちから、新居のインテリアデザインをつぐみに頼みたいと頼まれ、自分も前に進みたいと引き受けることにするのです
そして、彼氏の是枝くんに「事後報告」で、鮎川が手がける新居のインテリアデザインの仕事をやることになったことを報告することとなります
器の大きいできる彼氏の是枝くんも、最初は、つぐみの話にかなりとまどいます
しかし・・・実は、是枝くんには亡くなった双子のお兄さんがいるんですね
一度、大切な人を失っている経験があるからこそ、「本当に大事なものはなんなのか?」と考える
そして、是枝くんは、鮎川とつぐみと三人で食事をし、「新しい関係をつくっていこう」と言うのです
そんな是枝くんのやさしさと大きさに、「是枝くんのことは絶対に裏切らない」と決意をするつぐみ
そして、3ヶ月たち・・・
楓と圭吾の家はどんどん出来上がっていく
家族に是枝くんを紹介し、順調に交際も進んでいる
特に、つぐみの家族は、人当たりのいい是枝くんのことをすごく気に入ってくれて・・・このまま是枝くんと幸せを紡ぎ続けると思わせるのですが・・・
つぐみたちが暮らす松本で、震度5強の地震が起こるのです
その時、実家にいたつぐみ
地震が起きて、家中のものがひっくり返ってしまった惨状につぐみはまず鮎川のことを考えて・・・
もちねこ
6巻の是枝くんが、これまたかっこいんです。そりゃ、こんな器の大きいやさしい彼氏、つぐみの家族も気に入って当然!
もう、このまま何もなかれば、つぐみと是枝くんが結婚してもおかしくない流れが、バンバンくるんですが、最後の最後に、地震という予期せぬ大きな出来事が起こってしまう・・・
車椅子の鮎川が無事なのか・・・すごく気になる終わり方をしています
もちねこのまとめ感想
障害者と恋をする難しさが描かれていて、いろいろ考えさせられる部分もあるとってもマジメなコミックだと思いました
それが、すごくドラマがある感じで描かれているのが、すごく、いいと思います
つぐみが「運命」って言葉をよく使うんですけど、目の前で起こる出来事を「運命」か「そうじゃないのか」?選んでいるのはつぐみ自身なんですよね・・・
鮎川くんと別れることになって、つぐみの心の中に鮎川くんという存在はいるままなんですけど、それでも、是枝くんという器の大きな男性のことも大事にしたいという気持ちが生まれてしまう
つぐみの心には、矛盾が生まれていいるけど、その矛盾を抱えながら、鮎川とも是枝くんとも向き合っていく
どちらにも情があり、どちらもつぐみのことを想ってくれている
ひとりしか選べないから、時に、恋愛は複雑で難解なんですよね
巻数を重ねるごとに、気持ちが弱かったつぐみが強くなっていくのも注目です