もちねこ
「雲一族と泥ガール」は、貧乏家族・兄弟四人の長女のすずめが、たったひとりの父親が亡くなったことで、一流ホテルを経営する父親の兄弟に当たる超セレブの七海家に引き取られることで始まるボンビーガールの奮闘記コミック
物語のはじめで、長女のすずめだけ、養女ということで七海の血を継がないものとして追い出されかけるも、血の繋がりがなくても私たちは兄弟であると主張する
そして、しぶとくねばり七海家に残ることができたすずめだが・・・
一癖も二癖もある七海家の美しい三姉妹に
利用価値のあるかないかでしか人を判断できない七海の父
彼らの価値観に驚きながらも、負けじとがんばるヒロインすずめ
そして、美しい3姉妹の末っ子の玻璃(はり)が実は、男だったとわかった1巻のラスト
なぜ、玻璃(はり)がオンナの格好をして生きなかればならないのか?
七海家の抱える闇はとっても深いもののようです
そして・・・それで、どうなった?の2巻です
「雲一族と泥ガール」1巻の試し読みはこちらから
「雲一族と泥ガール」2巻のここが面白い!!
「私に力を貸して」末っ子玻瑠の気持ち
実は男性であることをすずめに告白した玻瑠(はり)
玻璃は、母親が亡くなってから、10年以上、長女である瑠璃姉のためにオンナの格好をしているんです
長女の瑠璃の時間を止めたのは自分であり、自分も瑠璃姉さんの人形としか生きることができないという玻璃
「自分のようになりたくなければ、瑠璃姉さんの駒にはならないこと」
「そして、瑠璃と父親の間に確執をなんとかするために私の協力してほしい」
と玻璃はすずめにお願いをします
七海家の持つ裏事情を知ったすずめは、玻瑠に力を貸すことを約束するのです
そして「まずは瑠璃さんを卒業しよう」というのですが・・・
まさか、自分で言ったその言葉が後で自分の首を締めることになるとは・・・
まだこの時は気づかないんです
すずめの兄弟達を懐柔する瑠璃
すずめの兄弟であるタカ・めじろ・かもめたちは、すずめが七海家の玻瑠と珊瑚に振り回されている間、実は、寂しい思いをしていました
特に長男であるタカは、父親が亡くなり、長女は七海家の人間たちにつきっきりで、不安から情緒がかなり不安定になっている
そんなタカに、七海家の長女の瑠璃は、優しく接します
そして「お父さんの納骨に行きましょう」と声をかけるのです
誰も父親のことなど忘れてしまったと思っているタカにとって、その言葉は、すごくうれしいもので、瑠璃の前でポロポロ泣いてしまいます
瑠璃は、あっという間にタカ・めじろ・かもめ達を懐柔してしまうんです
翌日、学校の転校手続きに行くというめじろとタカ
すずめは、保護者として同行しようとしますが、明るく、「瑠璃さんについてきてもらう」と断られてしまいます
「いつまでも、すずめちゃんに頼っていたら悪いもんね」と、すずめから卒業する宣言をするタカとめじろ
すずめは、ふたりから出た「卒業する」という言葉に、寂しさと焦りを感じ、ショックを受けます
ショックを受けているすずめに瑠璃が近づいて来て、「長女なら いつまでも“わたしがいなきゃだめなんだ”って思いたいわよね」と言います
家族でいたいなら、自分の妹や弟を一番に見ていてあげなきゃダメだという瑠璃の言葉に力をなくすすずめ・・・
もちねこ
「お前の人生はお前だけのものだぞ」
瑠璃の言葉に打ちのめされたすずめ
自分自身が、玻瑠が瑠璃から卒業することを応援すると言っていたのに、いざ、自分が、弟や妹から卒業すると言われると、不安で仕方なくなるのです
そんなすずめに、凪くん(亡くなった父親の友人)が「君は母親じゃないぞ 一度、兄弟と離れた方がいい」と言います
凪の言葉に、真っ青になって、今以上離れたら、家族でもなくなってしまう!と言うすずめですが、凪は、笑いながら、亡くなった父親とすずめたちが一緒に暮らしていたアパートへ連れ出すのです
そして、アパートのカーテンを明けながら、昔、凪くんが、すずめたちの父親から言われた言葉をいいます
「お前の人生はお前だけのものだぞ」
その言葉は、生前の父親がすずめによく言っていた言葉でした
「どうか自由に生きてほしい」と病床で笑っていた父親の姿を思い出すすずめ
そこに居合わせた玻璃にも「玻璃くんの人生も玻璃くんのものだぞ」と言い残し、凪くんは帰っていきます
アパートに取り残されたすずめは「家族になるって どういうことだろう」と改めて考え始めるのです
もちねこの感想
テーマが「家族」なので、ときめき度が少ない巻でした
すずめが、家族になるために玻瑠と結婚したい!って言い出すところとかあるんですけど、玻瑠に、まずは、恋愛するところからはじめなさいとたしなめられています。
恋愛がなんたるものかもわかっていないすずめ
ヒロインとしての魅力は存分にあるのに、残念すぎる!
でも、すずめの頭の中は、兄弟のことでいっぱいなんです
恋愛要素の部分は、すごく物足りないんですが、でも、すずめが、頑張っている姿と、瑠璃さんの怖さが、なかなか読み応えがあったし、面白かったと思います
「家族」とはどういうものか?すずめが出す答えを期待したいと思います
巻数を重ねることで、面白さが増すコミックなのではないでしょうか?
特別よみきり「あねごころ」が収録されていますが、こちらも、大家族ものの長女の奮闘記の短編となっています